地主神への信仰と天岩戸伝説
遥か昔この地で始まったのは、生命の源たる「水」への、
もっとも純粋な祈りでした。
戸隠の険しき山々から湧き出る清らかなる水。
麓の命を繋ぎ続けたその恵みは、
水を司る地主神「九頭龍大神(くずりゅうのおおかみ)」への
信仰となり、今に続く戸隠信仰の原点となりました。
やがて、日本神話「天岩戸(あまのいわと)伝説」の舞台として、
戸隠はその名を全国に馳せることとなります。
太陽の神・天照大御神(あまてらすおおみかみ)が隠れ、
世界が暗闇に包まれた際、無双の神力で岩戸をこじ開けた
天手力雄命(あめのたぢからおのみこと)。
彼が力任せに投げ飛ばした巨石が、飛来して成った山
――それこそが、この目の前に聳(そび)える「戸隠山」
であると伝えられています。
岩戸が隠された地。「戸隠」の地名の由来にもなっています。
大霊場「顕光寺」と、坊の幕開け。
平安の世、戸隠は「戸隠山顕光寺(けんこうじ)」という
神仏習合の信仰の地へと、劇的な変貌を遂げました。
「戸隠三千坊」と称され、山中には多くの僧侶が籠もり
祈りを捧げたという大霊場。
比叡山や高野山にも比肩する修験道の聖地として、
全国にその名を轟かせました。当館はその時代、
「覚住坊(かくじゅうぼう)」と称し、顕光寺の坊として
役職を担っておりました。
やがて江戸時代初期、坊名は院号と改められ「福寿院」として
のちの世へと命脈を繋ぎます。
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